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下之郷区民 健康を考える会  2015.2.14
 2月14日(土)、町保健師の田畑さんを講師に迎え、農事集会所で「健康を考える会」が開かれました。
 今回のテーマは、「あなたの腎臓は大丈夫??」
 2時間に及ぶお話でしたが、たいへん分かりやすく、また切実な話でもあり、あっというまに時間がすぎたように思いました。
 区民の皆様ぜひ聴いていただきたい内容がいっぱいありましたので、以下に概要をお伝えします。
 
■甲良町の国保はパンク状態

 ・医療費についての甲良町の財布はすっからかんで、県から借金しないと回っていけない「火の車」状態です。
  予防できることは予防して自分の体は自分で守るということをぜひ考えていただきたいのです。
 
   ■下之郷の「特定健診の受診率」は70%

 町全体の目標が60%ですから、良いと言えます。
 区民の大半が受けているのですから、以下のデータは下之郷区民の健康状態を客観的に示すものとして見ることができます。
   ■血圧・血糖・脂質の異常者が多い

●血圧の高い人が、町・県よりうんと多い
●血圧・血糖の両方が高い人も、町・県よりかなり多い。
●血圧・血糖・脂質、3つとも高い人が町なみに多い。
 (甲良町全体が県平均より突出して多い。)
 この3つともが高い人はかなり危険な状態にあります。
  ■腹囲
 下之郷の場合、
・男性は、2人に1人は基準値を超えている。
・女性は、5人に1人基準値を超えている
   ・女性は、脂肪が外回りにたまる皮下脂肪方肥満。「子育て」のための非常食として長期間保存できる貯蔵庫。こちらの脂肪はそれほど悪さをしない。 

・男性の場合、本来体に脂肪を蓄える機能がないので、空洞にな っているおなかにため込む。これが内臓脂肪型肥満。少々はあった方がよいが、過剰にあると困ったことを引き起こす。
  ■BMIの数値も下之郷は突出して多い。
 
 BMIは、身長と体重の割合を見るもの。これも町・県に比べて突出して多い。
 女性も、脂肪がありすぎると、大きな荷物を常にかかえているのと同じ状態になるので、心臓にすごく負担がかかる。血液量も増えるので、血圧が上がる。 
   ■「心臓病」「腎不全」で死ぬ人は、
             国・県に比べて突出して多い


 日本だけでなく世界的に見て、死因の第一位は「ガン」。
 それなのに、甲良町ではガンで死ぬ人の割合が少ない。それは、「ガンになるまえに心臓病で死んでしまう人が多い」ということ。
   ■甲良町民の「急性心筋梗塞」による死亡率は県下1位

 ・甲良町民の急性心筋梗塞による死亡率は、ずっと以前から県下で一番多い、という状態が続いています。
 ・女性の「脳卒中」による死亡率も県下2位。
 「血管が詰まる病気で死ぬ人が多い」のが甲良町の特徴
 「血管がいたんで腎臓が悪くなって死ぬ」というのも他地域に比べて突出して多い。
    ・心臓の血管が詰まりかけると「ステント」という管を入れて広げる手術をする。
  けれど、1本詰まるということは、他の血管も同じ状態。次々に5本、10本とくり返し入れていくことになる。

 ・ステントを入れられないほどひどくなると、足の血管を移植してつなぐバイパス手術をする。その費用は1000万円。
 ◎今、沖縄では心臓病で突然死する人が急激に増えている。甲良町は、その沖縄に似た形になっている。
 
   一番左……糖尿・高血圧・脂質3つが揃っている49才女性の血管壁に蓄積されて凸凹状態。

真ん中……血液の油が多い脂質異常59才男性の血管

右側……高血圧と糖尿をもつ63才の男性の血管


   頸動脈の写真。
 左の写真のように、血管の中は本来はすごくきれいなのです。
 ところがリスクを持っている人の血管はどんどん詰まってくる。硬くなる。血圧が上がると、壁に付いているプラークがはじけてしまう。その血栓(血の塊)が流れていって、血管を詰まらせてしまうのです。
   昔は、「悪玉コレステロール」が原因と言われていました。
しかし、それが原因で死ぬ人は2割。
最新の研究では、
心筋梗塞を起こす8割の人は「内臓に脂肪が溜まっていて、中性脂肪が多くなり、血圧が高くなり、血糖が高くなっている人」。

今は血圧を下げる良い薬があるので、まず血圧を下げる。中性脂肪・血糖は食べ方・動き方によって改善できます。だから生活習慣病なのです。
 
 下之郷の人は、「間食」「朝食抜き」が割と多いですね。夜、たらふく食べているということですね。
 夜たらふく食べるとそのエネルギーの置き場所は「おなかまわり」しかない。中性脂肪が多い人というのは、余ったガソリンの置き場がどこにもなくて、血液の中をただよっているということです。
普通の人は空腹時の中性脂肪の値が40~50です。数値が100を超えている人はもう十分余っている人なのです。
 300を超えると余りすぎ。心筋梗塞のリスクが非常に高くなります。 
   おなかの脂肪は、溜めやすいかわりに、使えばすぐなくなります。
車を走らせてやるのにガソリンを使うように、走らせやればいいのです。
 1日のうちで一番ガス欠になるのは、夕方です。だから、おなかのすく夕方に更に体を動かしてやれば、ここの油が使われるので早く無くなります。
おなかまわりが1㎝減れば1㎏(写真)減ります。3㎝減らせば3㎏。3㎏といえば赤ちゃんの重さ。男の人も赤ちゃんをおなかに入れている人がたくさんいるということです。
1㎝減れば血液の状態は劇的に変わります。
   血圧が130-85の人でも、血管の痛む速度は普通の人の2倍
140-90だと、6倍。160-100なら12倍です。
出浦先生は、「血圧は120~70台にしておかないとだめ」と言われます。

体重が減れば、荷物を抱えなくてもいい分、血液の量が減るので、血圧も確実に下がります。

■塩分を減らす
 塩分を減らせば血圧は確実に下がります。
体に必要な塩分は、ちゃんと体の中に蓄えられています。汗やおしっこで出る塩分は、不要だから出すのです。
「健康な人にとって、一日に必要な塩分量は0.5gと出浦先生は言われます。料理に何の味付けをしなくても、食べ物の中に2gぐらいの塩分は含まれているのです。

■日本人は食塩中毒民族
 フランス人が日本のフランスパンを食べると「むちゃくちゃ塩っ辛い」と言うそうです。
 トマトジュースも外国人が飲むと「なんちゅう塩っ辛いトマトジュースや」と言うそうです。

■日本には「寝たきり老人」がなぜ多い?
 外国人が不思議に思うのは「元気な寝たきりの老人が多い」ということです。顔もつやつやしてよく食べているのに寝たきり、そんな人は外国では少ないそうです。なぜ日本人はそうなるのか?
 塩が体の外に出るとき必ずいっしょに持って行くものがあります。「カルシウム」です。日本人には骨粗鬆症の人が山ほどいます。ちょっとつまずいただけで骨折し、立てなくなり、寝たきりになってしまうのです。


  ■介護保険を使っている人の割合が突出している甲良町
 
 なぜ、こんなに介護保険を使う人が多いのかというと「病気の人」が多いからです。加齢によって介護が必要になるのではなく、病気のために介護が必要になっている人が多いということなのです。

 どんな病気で介護保険を使っているかというと、1位が心臓病、2位が骨粗鬆症 3位は、若い人では脳卒中、高齢者では糖尿病です。すべて予防できる病気なのです。
  ■食生活の改善の方法
  胃はいっぱいにしないと満足しませんね。
 だから、今勧めているのが「具だくさんみそ汁」。おはしを立てたら立つぐらい野菜を入れたみそ汁にする。これを先に食べると、胃袋が半分ぐらいおさまる。具だくさんで汁が少ないので、その分減塩にもなる。その後でごはんを食べる。100gもあれば十分です。
 有名なタニタ食堂の社員が食べるごはんは毎食100gです。

 
■私たちの体も霜降り肉になる
霜降り肉を作るのに、牛や豚は何を食べさせられているか。
豚に「アルコール」と「油」を食べさせるそうです。
「バームクーヘン豚」というのは、豚にバームクーヘンを食べさせているのです。
でも、そういうものを食べさせられている牛や豚はかなりの割合で突然死しているそうです。豚や牛も心筋梗塞で死んでいるのです。
 つまり、私たちの体も霜降り肉になるのです。余った油は筋肉にも溜まっていくのです。赤身の肉はエネルギーを使ってくれる。けれど、霜降り肉はエネルギーを溜め込む肉です。